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デジタルツインは夢物語ではない! パフォーマンス検証から見えてきたLenovoワークステーションの有用性ワークステーション検証レポート

Lenovoのワークステーションが設計・製造の現場にどのようなメリットをもたらすのか、そして急務となっている「デジタルツイン」の実現をどのように支援できるのか。CADistの協力の下、Lenovoの高性能ワークステーション「ThinkStation P5」と「ThinkStation P3 Ultra」のパフォーマンス検証を行った。

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 製造業で主に使われる設計業務用3Dソフトウェアは、高機能化しながら直感的で使いやすくなるなど日々進化を遂げている。そうした環境の変化の中、設計から製造に至るあらゆる場面で3Dデータの活用が広がっている。特に現実世界の物体や環境から収集したデータを使い、仮想空間上に全く同じ環境をあたかも双子のように再現し、現実とデータが相互に関連する「デジタルツイン」に大きな注目が集まっている。

 そんな折、設計・製造現場において大きな課題となっているのが、点群データをはじめとするデジタルデータの大容量化への対処だ。これらの大容量データを処理し、3D CADや3Dスキャン、またこれらを解析する際に使うCAEといったソフトウェアの性能を最大限に発揮するには、高スペックなハードウェアの活用が必須と言えよう。

 そこで今回は、3D CADをはじめとする3Dデジタル技術の導入支援を通してエンドユーザーと共創しながらモノづくりを推進するCADistの協力の下、Lenovoのハイスペックワークステーション「ThinkStation P5」と「ThinkStation P3 Ultra」を対象にパフォーマンス検証を行った。本記事では、Lenovoのワークステーションが設計・製造の現場にどのようなメリットをもたらすのか、そして急務となっているデジタルツインの実現をどのように支援できるのかなどについて解説する。

現実的になりつつあるデジタルツイン活用
ハードウェアの性能が重要な要素に

 フィジカル(現実世界)とバーチャルの世界がリンクし合う「デジタルツイン」と言えば、工場の設備をIoT(モノのインターネット)でデータ化するなど、大規模なスマートファクトリーを思い浮かべる方もいるだろう。もちろん、生産設備をIoTでデジタルツイン化するという取り組みも行われているが、実現するには多大なコストと労力がかかると考え、「デジタルツインは、どうせ一部の大手企業のお話でしょ?」と導入を諦めている企業も多い。

 しかし、実際には製造ソリューションの進化とともに、設計・製造現場のデジタルツイン活用が現実的なものとなってきている。

 特に最近、CADistに対して顧客からの相談が増えているのが、3Dスキャナーで取得した点群データの取り扱いだ。例えば、工場設備を3Dスキャンした後、そのデータの確認はもちろん、3D設計データに取り込んだ上で設計中の設備や製品の“おさまり”の検証を行いたいという相談だ。これに併せて、設備設計などで、既存あるいは前述の3D設計データ解析のための数値流体解析ソフトウェアである「Autodesk CFD」(以下、CFD)導入に関する依頼もますます増加しているという。

CADist 取締役 CSOの千野貴弘氏
CADist 取締役 CSOの千野貴弘氏 提供:レノボ・ジャパン

 「単体の3Dモデルを表示して、自在に動かして見回すといったことは、今や当然になり、エントリーモデルのワークステーションなどでも問題なく処理できます。しかし、大規模アセンブリにおける3D CADやCAEを利用する、あるいは点群データの編集や、点群データを基にした3Dモデル作成・解析を扱うようなデジタルツインに取り組むとなれば、高いスペックを持つワークステーションの利用は欠かせません」と語るのは、CADist 取締役 CSO(最高戦略責任者)の千野貴弘氏だ。

 ソフトウェアが実行する高度な計算およびグラフィックス処理、そこからアウトプットされるデータ容量に対応できるハードウェアを整備しなければ、3Dツールの性能が発揮できなくなってしまう。このことからハードウェアの選定は、設計・製造現場の生産性向上を考える上で非常に重要な要素となる。

Lenovoのワークステーションが増え続ける大容量データの処理ニーズと
業務品質や生産性の向上に大きく寄与

 CADistでは、機械設計部門で広く活用されているオートデスクの製造業向けソリューションパッケージ「Product Design & Manufacturing Collection」(以下、PDMC)やCFDなどの導入を支援する際に、顧客が業務で扱う実データに近いデータサンプルを用意する。顧客の下でソフトウェアを試したり説明を行ったりする際には、打ち合わせしながら3Dデータやソフトウェアの設定条件などを調整することがある。しかし、大容量データの処理に時間がかかることが大きな課題であった。

 「例えば、CFDのサンプルケースの処理であれば、一度お客さまから相談を受けたら、翌日以降に結果が出て回答することになり、その分、お客さまを待たせてしまっていました。帰宅前に計算をセットし、翌朝に確認するといったことも行っていましたが、出社するとエラーが出てしまって最初から計算し直すこともしばしばありました」と、ワークステーションが実務における必需品であるCADist 営業アシスタントの野村氏は語る。

 点群データにしても、ビューイング時に処理が止まってしまえば、顧客とのスムーズなコミュニケーションを妨げてしまい、それが顧客にとってストレスになってしまうこともある。さらに、マシンのスペックに合わせてデータを省略してしまえば、不足している情報に関する説明に気を遣う、あるいは誤解して伝わってしまう恐れもあった。

 「処理の快適さは業務の質、顧客満足度、そしてスタッフのストレス軽減にとって非常に重要なポイントになります。こうした悩みを一気に解消したのが、ThinkStation P5とThinkStation P3 Ultraです。今回、レノボと共同で行ったThinkStation P5とThinkStation P3 Ultraを用いたパフォーマンス検証は、ハードウェアの性能が生産性に大きく関わることを実証しました」(千野氏)

検証内容の詳細

 今回の検証の目的は、ThinkStation P5とThinkStation P3 Ultraを使って点群データの処理、そして点群データ処理同様、多くのリソースを必要とする流体および気流解析の3つの操作を実際に行い、操作にかかる時間や使用感を比較することにある。

今回検証を行ったワークステーション(3機種)の主なスペック
今回検証を行ったワークステーション(3機種)の主なスペック[クリックで拡大] 提供:レノボ・ジャパン

点群データの処理

 1つ目はPDMCにある「ReCAP Pro」による点群データ処理の比較だ。検証に使われた点群データは、Lenovoの米沢工場をスキャンしたものであり、全部で5.3億点、ファイル容量にして22GBあるデータとなっている。

 こちらの比較ではThinkStation P5とThinkStation P3 Ultraで大きな差は感じにくいが、細かく見ていくとスペックが高くなることで、マウス操作のレスポンスや滑らかさ、点群データの表示速度が向上し、よりストレスなく操作できるようになった。

ReCAP Proによる点群データのレビュー(視点移動)
ReCAP Proによる点群データのレビュー(視点移動)[クリックで拡大] 提供:レノボ・ジャパン

流体解析、気流解析のパフォーマンス

 ThinkStation P5とThinkStation P3 Ultraを比較したが、解析結果を確認するアニメーションにはどの機種も特に問題はなかった。しかし、実際の解析の処理にかかった時間を比較すると大きな差が見られた。

CFDによる混合水栓の流体解析
CFDによる混合水栓の流体解析[クリックで拡大] 提供:レノボ・ジャパン

 ThinkStation P3 Ultraでは、流体解析に6.4分、気流解析に8.2分ほどの時間を要した。より高性能なThinkStation P5では流体解析は3分、気流解析は5分で完了するなど、さらに高速に処理を実行できた。比較用に使用したモバイルワークステーション「ThinkPad P16v」(Intel Core i7-13800H/NVIDIA RTX A1000 6GB/メモリ32GB)では流体解析に約18分、気流解析に約24分要しており、負荷の大きな解析処理においてはデスクトップワークステーションの方がより効率的に処理できることが実証された。

流体解析、気流解析のパフォーマンス検証
流体解析、気流解析のパフォーマンス検証[クリックで拡大] 提供:レノボ・ジャパン

Lenovoワークステーションにより計算処理が高速化、描画性能も大幅に向上
静音性、冷却性能、省スペースなども高く評価

 今回、パフォーマンス検証で使ったThinkStation P5とThinkStation P3 Ultraについて、CADistの評価は上々だ。

 「3Dスキャンによる点群データや、負荷のかかる解析処理を行いたいといった場合は、ThinkStation P5の性能があれば、とにかく快適かつスピーディーに業務がはかどります。今まで当社で使っていた他社製ワークステーションでは諦めていた処理が確実に行えるようになりました」(千野氏)

 「ThinkStation P5を使うようになってから、今まで当社従来機で6時間くらいかかっていたCFDによるサンプルデータの解析処理が2分半で終わるようになりました。もちろん、建屋全体の点群データを全表示してもフリーズすることもありません。やはり『作業時間が大幅に削減した』ということが最も大きな効果かと思います。それに、発熱の少なさ、稼働音の小ささ、スタイリッシュな筐体デザイン、エンジニアリングワークステーションとは思えない重量性など、評価すべき点がたくさんあり圧倒的に作業環境が良くなりました」(野村氏)

ハイパフォーマンスとスタイリッシュなデザインを併せ持つThinkStation P5
ハイパフォーマンスとスタイリッシュなデザインを併せ持つThinkStation P5[クリックで拡大] 提供:レノボ・ジャパン

 さらに千野氏は、「実際の作業担当者である野村がそう思ってくれていることが非常に大事であると考えています。例えば、当社が従来使用していたマシンと比較し、CFDによる解析処理時間の短縮、点群データの描画パフォーマンスの大幅な向上、あるいはこれら処理中のフリーズによる手戻りがないなど、投資対効果は十分かそれ以上に回収できています」と強調する。

 ThinkStation P3 Ultraについては、「ThinkStation P3 Ultraは、ThinkStation P5よりも下位モデルだと言っても、3D CADの中・大規模アセンブリをフルで開いてスムーズに作業できます。また、導入しやすいコストや筐体のコンパクトさも評価しています」と千野氏は言う。

サンプルモデルを操作する野村氏と、コンパクトなワークステーションThinkStation P3 Ultra(P5右隣)
サンプルモデルを操作する野村氏と、コンパクトなワークステーションThinkStation P3 Ultra(P5右隣)[クリックで拡大] 提供:レノボ・ジャパン

適材適所の使い分けにより自社のペースでデジタルツインへの一歩を踏み出す

 設計・製造現場でも図面ソフトウェアとしてのCADはすっかり浸透している。しかし、ソフトウェアのレベルは年々進化してきており、それと併せてハードウェアも適切なものにリプレイスをしていくことは必須である。

 「『CAD=設計ツール』というイメージが先行していますが、今後は本当の意味での『コンピュータ支援設計(Computer Aided Design)ソフトウェア』に移行しなければなりません。そして、PDMCは、製品設計はもちろん、生産技術、生産管理、社内物流といった、製造に関わるあらゆる部門・プロセスへアプローチすることが可能です。最適なハードウェアを導入し、PDMCの機能を余すところなく引き出すことで、デジタルツインの実現が大きく近づくでしょう。そのため、『高過ぎるから』という理由で無下に導入を諦めるのではなく、将来的なソフトウェアの性能向上を見越して、今からハイパフォーマンスワークステーションを導入するのもよいでしょう。まずは、業務内容や予算に応じてThinkStation P5とThinkStation P3 Ultraを適材適所で使い分けるのが賢い使い方だと考えます」(千野氏)

※本記事はレノボ・ジャパン提供のホワイトペーパーの転載記事となります。


提供:レノボ・ジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2024年12月22日

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