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今こそ求められる燃費効率化&設計効率化設計初期段階で活用する流体解析ソフト PowerFLOW(R)

リアルな流体現象の表現が得意な3次元解析ツール「PowerFLOW」を提供するエクサ・ジャパンが提唱するのは、2つの効率化だ。コストダウンと納期短縮のプレッシャー、環境問題のプレッシャー、今日の車両設計を悩ませるさまざまな問題に打ち勝つには、燃費効率化&設計効率化の合わせ技が有効だ。設計初期段階で、PowerFLOWをどんどん活用しよう。

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 エクサ・ジャパンの提供するパワフルな流体解析ソフトウェア「PowerFLOW」は、流体現象のリアル表現を得意としており、自動車など車両における空力や騒音、熱などの課題を複合的に検証できる。このように高度な解析では解析モデルは複雑かつ大規模になりがちだが、PowerFLOWではそのような解析モデルであってもユーザーの手を煩わさないように配慮している。PowerFLOWは米国本社のエクサ・コーポレーションが独自開発した「格子ボルツマン法」を採用し、格子生成の自動処理が可能だ。設計変更などにより形状を変えたい場合、モーフィングで修正した後に計算格子も自動修正されるため、直ちに再計算が可能である。有限体積法や有限要素法の流体解析ソフトウェアでは、解析実行前にユーザーがあらかじめ空間にメッシュを切る必要があるため、形状修正のたびにユーザーがメッシュを再検討あるいは修正しなければならなかった。


エクサ・ジャパン 代表取締役社長 石川 和仁氏

 PowerFLOWにおいては、形状変更に対する「感度(Sensitivity)」が重要ポイントだという。流体や騒音の解析では、形状がわずかに変わるだけで結果が大きく変わってくる。つまり、わずかな形状変更を解析結果へ精細に反映できるだけの感度が要求される。「お客さまはそういったところまで詳細に見ています。われわれの製品はその期待に応えられると自負しています」とエクサ・ジャパン 代表取締役社長の石川和仁氏は言う。

 詳細な形状変更をシミュレーション結果に素早く、かつ正確に反映できるPowerFLOWだが、計算が重た過ぎて結果が出なければ意味がない。だが「当ツールはその点でもお客さまの高い評価をいただいている」(石川社長)という。PowerFLOWは、「発散して結果が出てこない」「計算が止まってしまう」といった心配から解放される高ロバスト性(優れた計算安定性)を誇る。

2つの意味の「効率化」

 同社が掲げるテーマの1つに、「設計プロセスの効率化」がある。

 設計初期になるほど設計変更に対する自由度は大きくなり、開発後期で発生する問題を減らしていける。PowerFLOWでは、開発初期の段階から解析を活用しながら、設計や解析、デザイン(意匠)、生産など、さまざまな部門を巻き込んだ設計を効率よく進めていくことが可能だ。先述のように設計/解析間で形状修正に柔軟に素早く対応でき、DR(デザインレビュー)でさまざまな部門担当が同席する場で解析結果を3次元図で確認しながら、デザインや機能とのトレードオフを相談して設計が詰められる。そうすることで、問題の早期解決および後工程の作業負荷軽減と併せ、コスト削減も期待できる。

 同社のもう1つのテーマは、「自動車における燃費の効率化」である。近年、資源の枯渇問題やそれに伴うCO2排出量削減目標により、燃料の効率化は常に注目を集め続けている。空気抵抗の低減は燃費にダイレクトに効いてくる項目である。また、EV(電気自動車)では、その燃費において、電池(バッテリー)の冷却効率が重要になる。空力や熱など流体における現象を複合的かつ詳細に解析できるPowerFLOWは、まさにそういった検討を得意とする。

 そして燃費効率化とトレードオフの関係になるのが、騒音問題だ。自動車のパワートレイン(動力)系が従来のガソリンエンジンから、電気やハイブリッドに移行しつつある。それに伴って、動力から発生する音は減少する。すると、相対的に目立ってくるのが、風切り音などのノイズである。風切り音は市街地走行が多い日本だとあまり気にならない人も多いかもしれないが、欧米では特に購入を決定する際の重要な指標になるのが通常であると石川社長は言う。

 従来、自動車業界では、騒音が起こるかどうか、設計段階で前もって予測することは困難とされてきた。従って、実機で試験をして騒音が発生した後の暫定対策となりがちだった。例えばサンルーフを開けたときに音が発生すれば、ディフレクタを追加する。このように遮音対策として車体に材料を付け加えたり変更したりすれば、コストが上がるとともに重量も増えてしまい、燃費効率も悪化してしまう。空気の流れは、空気の振動として伝わる音と密接な関係を持つ。PowerFLOWでは、流体解析と併せ、発生する音まで解析でき、さらには音そのものまで再現できる。つまり、トレードオフとなる要因を効率よく探っていくことが可能である。また同社では、自動車の騒音に関して国内外の大手自動車メーカーと共同研究を行い、論文も発表している。そういった日々の研究成果もPowerFLOWに反映されている。

 燃費効率にしても、騒音にしても、PowerFLOWを活用して、設計初期段階における問題洗い出しを可能な限り実行していくことが有効である。

これからは最適化設計の時代

 設計初期段階での問題洗い出しを進める上で、最適化設計は非常に有効だ。エクサ・ジャパンでは、PowerFLOWユーザーとともに最適化設計に関するプロジェクトも進めている。今後、より厳しい設計効率化を求められる設計現場にとって、最適化設計は避けられないプロセスとなってくるだろう。

 最適化設計では、決められたパラメータの中から適切なものを選定し、さらにそこから解析結果の変化に大きく寄与する因子を抽出していく。設計寸法(縦、横、高さ、R)や性能値など、どのパラメータを変更するかは、あくまで設計者が決定しなければならない。

 また構造解析では、コンピュータ側が自動的に複数のパラメータの値を振っていくなど、ある程度の自動化が可能だが、流体については計算負荷が高いため、ユーザーがパラメータの組み合わせを選択しなければならず、自動化が難しいとされた。そこでエクサ・ジャパンは同社が持つ流体解析における効率的な最適化設計のノウハウをドキュメント化。それを携えた同社のサポート部隊が、各企業の開発状況に合わせた最適化設計を支援していくという。

 最適化設計における計算処理は膨大となり、100〜200コア数でこなすのが通常だ。中には、既に1000コアレベルで計算する企業もあるという。膨大な量の計算処理が要求される最適化設計を導入する際には、マシンコストがネックとなることも多々あった。しかし今後は、高性能なハードウェアのコストがさらに廉価となっていくことが予想され、最適化設計の事例はどんどん増えていくだろうと同社は見ている。

今年のセミナーは燃費効率化がテーマ

 エクサ・ジャパンが毎年開催するセミナーは、2011年10月下旬に開催予定だ。今年のメインテーマは上記で紹介した燃費効率化。併せて設計プロセスの効率化や最適化設計に関するセッションも設ける。

 解析に掛けられる時間や人員、またコンピュータのリソースは有限であり、その中で効率的に解析を行わなければならない。震災の影響でますます効率化の必要性が高まってきたともいえる。セミナーでは限られたリソースでの効率的な解析のコツなどについても聞くことが可能だ。

 「エクサ・ジャパンの製品アップデートや、トヨタ自動車様による基調講演、また燃費をテーマに海外の大型トラックに関するユーザー事例も紹介する予定です。さらに空力・音・熱のアプリケーションについて、複数の課題を総合的に上流で解決するための方法を探るなど、さまざまなセッションを用意します」(石川社長)。

 このセミナーは、解析担当者だけでなく、企業の企画や経営に関わる人や、IT部門の技術者も必見だと石川社長は言う。

 「工程全体にわたってツールが貢献するさまを見ていただきたいと思っています。CAEは単体で見ると確かにコストが掛かりますが、実試作の費用や工程短縮を考えた場合、トータルでむしろコストは下がります。流体では衝突実験のように丸一台衝突用の設備がなくなるといった分かりやすい高価がないため、ピンときにくいですが、実際には十分に費用対効果があることを伝えたいです」(石川社長)。また「企業にあるデータセンターなどは、CAEを使うことによって有効に活用することができると思います。社内リソースを有効に生かして、よりよい製品を作るために当社のツールを役立ててほしいです」(石川社長)。

着々と整う並列化や仮想化環境

 PowerFLOWによる流体解析や最適化設計では、PCクラスタのマシンパワーが必須である。エクサ・ジャパンの社内における解析業務では、「200コア並列で1計算」が標準で、500コア以上の並列計算実績もある。また、PCクラスタを提供する富士通との協業体制も心強い。

 PowerFLOWのユーザーにおいては、並列数が数十コアから200コアまで、扱われる解析内容により規模はさまざまである。また並列計算による解析が、全開発期間において必要がないケースもあり得る。エクサ・ジャパンでは、ユーザーの状況に細やかに対応するライセンスも用意する。

 「計算負荷は開発の状況によって変動するもので、フル稼働するときもあれば全く使わないときもあるでしょう。そこで、使った分だけ使用量に課金する方法も用意しています」(石川社長)。PowerFLOWの使用状況がログファイルに記録されるようになっており、その使用時間に応じて課金する仕組みだ。

 一方、クラウド環境での並列計算対応についても、富士通と共同検証を実施し、検討を進めている。既に、PowerFLOWの解析と仮想化OS上の並列計算との相性が非常に良好であるという結果も出ている。

 通常の利用では、より並列性能の高い標準OSで、専用サーバーでの利用がお薦めだが、例えばマシンリソースの制限がネックになるような先述の最適化設計においては、仮想化環境への対応はその有効な解決法の1つとなる。また試験的にシミュレーションソフトを使ってみたい場合や新バージョンを試す場合にも有効だ。


 PowerFLOWの能力を存分に引き出す環境は整いつつあり、さらなる設計の効率化への扉が開くことになるだろう。

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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2011年10月31日

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