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【後編】PCクラスタでCAEの精度を鋭く研ぎ澄ませ!ニッポンのモノづくりを元気にするHPC!――富士通 PCクラスタ「PRIMERGY Cluster」

顧客の動きを素早くマークし、製品を迅速に市場投入するためのフロントローディング。その重要なツールの1つであるCAE(Computer Aided Engineering)。その解析結果の精度を鋭く研ぎ澄ますには、高性能なコンピューティング環境が必須。しかし、満足のいく環境は非常に高価……だったのは、過去の話! PCクラスタで、CAEの能力を余すところなく引き出そう。

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フロントローディング実現の鍵を握るCAE

 日本の製造業は、いま大きな曲がり角に差し掛かっている。消費者の嗜好(しこう)の移り変わりは早く、半年前に売れていた製品がもう売れなくなる。海外も含めた市場競争は激化する一方で、新興国のメーカーが次から次へと新製品を市場に投入してくる。

 こうした新たな局面に対応するには、製品の研究開発にかける時間を極力短縮し、競合他社に先駆けていち早く製品を市場に投入する必要がある。時間をかけていくらいい製品を開発しても、いざ製品を発売したらもう市場がなくなっていたのでは意味がない。

 現在、多くの製造企業が開発期間の短縮に取り組んでいるが、その一環として「フロントローディング」と呼ばれる開発手法に注目が集まっている。これは、設計工程の早い段階で、後々の製造工程や製品テストで問題になりそうな不備を極力洗い出しておき、先回りして対応しておくことによって手戻りを減らそうというものだ。このようなコンセプト自体は昔からあったが、それを実現可能にするための支援ツールが整ってきたことにより、近年になって本格的にフロントローディングに取り組む企業が増えてきている。

 そうしたツールの1つに、CAE(Computer Aided Engineering)がある。CAEとは、コンピュータを使ったシミュレーションで、仮想的な実験作業と解析を行うためのものだ。これを活用することにより、設計での試作と実験の回数を減らすことができるため、製品の開発期間を大幅に短縮することができる。

 CAE自体も昔からある技術だが、ある程度正確なシミュレーションを実行するには膨大な量の演算処理をこなす必要があり、極めて高額で高性能なコンピューティング環境が必要だった。そのため、一般の設計現場で導入するにはハードルが高く、一部の解析作業で使われるに留まっていた。

 しかしここ数年の間で、こうした状況が大きく変わりつつある。

CAEの普及を後押しするPCクラスタ技術


富士通株式会社
プラットフォームビジネス推進本部
PCクラスタビジネス推進室 室長代理
田中 豊久氏

 現在、CAEを積極的に導入する企業が増えている。その背景として、PCクラスタ技術の発達によって、高性能なコンピューティング環境、いわゆる「HPC」(High Performance Computing)を安価に調達できるようになったことがある。1980年代のスーパーコンピュータに始まり、早くからHPCのソリューションに積極的に取り組んできた富士通株式会社(以下、富士通)も、いち早くPCクラスタ技術に取り組んでいるメーカーの1社だ。同社 プラットフォームビジネス推進本部 PCクラスタビジネス推進室 室長代理の田中 豊久氏は、一般企業の設計現場におけるHPCのニーズについて次のように述べる。「CAEはコンピュータ性能が高ければ高いほど、短い時間で処理できる。なおかつ、大量のデータを処理できるようになるので、より高い精度の解析が可能になる。従って企業としては、可能な限り高いコンピュータ性能が欲しくなる。このようなニーズを背景に、HPCの分野は伸びている」。

 自動車メーカーの例で具体的に説明してみよう。クルマの設計には、車体の強度を解析するための衝突実験が不可欠だ。しかし、試作車を作ってはぶつけて壊し、また作ってみては壊し……といったことを繰り返していると、多大な費用と時間を費やしてしまう。これが、CAEによる仮想実験を導入することにより、大幅に実験の回数を減らすことができる。


富士通株式会社
プラットフォームビジネス推進本部 本部長代理 兼
PCクラスタビジネス推進室長 森下 健作氏

 富士通 プラットフォームビジネス推進本部 本部長代理 兼 PCクラスタビジネス推進室長の森下健作氏は次のように説明する。「自動車メーカーの製品開発は、従来は2年ほどかかっていたが、CAEが普及したことにより開発期間は約半分にまで短縮されている。また、これまでは部品単位の解析しか行っていなかったところを、現在ではクルマ全体を対象にした緻密(ちみつ)な解析ができるようになってきている」。

 自動車以外でも電機や機械などさまざまな製造分野で同様に、HPCの低価格化が呼び水となってCAEの導入が進んでいる。また近年では、オーソドックスな構造解析や流体解析のほかにも、音響解析なども含めた複数の異なる解析を組み合わせる連成解析も行われつつあるという。

PCクラスタソリューションをリードする富士通

 さらに製造業以外の業種でも、例えば金融工学や創薬などの分野を中心に、HPCを使って高度な解析を行う例が増えてきている。その背景には前述したように、PCクラスタ技術によるHPCの低価格化がある。かつてHPCといえば、何億円もするスーパーコンピュータ以外に選択肢はなかったが、現在市場に出回っているPCクラスタ製品はそれに比べて圧倒的に安価だ。


広がるPCクラスタの適用領域

 かつてはスーパーコンピュータでHPCの分野をリードしてきた富士通も、現在ではHPCソリューションのほとんどをPCクラスタで提供しているという。その中心を担う製品がブレードサーバ「PRIMERGY BX900」だ。1シャーシ当たり18ノードという高密度と、クラス最高のバックプレーン性能を実現しつつ、同時に消費電力と発熱を大幅に抑えた製品だ。2009年11月には、地球温暖化防止への取り組みを表彰する「平成21年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を受賞している。

 また、PCやワークステーション環境からのアップグレードのニーズに応えるために、ラック型サーバ「PRIMERGY RX200」を使った小規模なHPCソリューションも提供している。こちらは、最小構成で456万円(24コア)からと、1000万円を切る値段でHPC環境を構築することが可能だ。


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 ソフトウェアのサポート体制も他社とは一線を画している。同社製のソフトウェアはもちろんのこと、OSS(オープンソースソフトウェア)も同社でサポートするというのである。PCクラスタ環境のミドルウェアにはOSSが使われることが多いが、これをメーカーが正式にサポートしてくれるとなると、HPC導入のハードルは一気に下がる。

 同社の強みは何といっても、ハードウェアとソフトウェアをすべて合わせたトータルソリューションを提供できるところにある。スーパーコンピュータとは違い、PCクラスタではハードウェアやOS、ミドルウェア、アプリケーションを、それぞれ別々のベンダが提供する。従ってユーザーは、自前でそれらをあれこれと組み合わせて環境を構築する必要がある。この作業には専門的なスキルが要求されるため、ユーザーにとっては大きな負担だった。これを富士通では、すでに同社内で動作確認をしたハードウェアとソフトウェアの組み合わせをセットで提供しているのだ。

 「構造解析向け」「流体解析向け」といったように、ユーザーの用途別に最適化した組み合わせも提供している。スーパーコンピュータの時代からHPCに長く取り組んできた富士通ならではの、ユーザーの目線に立ったソリューションだといえよう。

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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2010年7月31日

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