「改正物流効率化法」への対応待ったなし、“AIカメラ”が担う現場改善の第一歩:物流DX
物流の現場で「2024年問題」が顕在化しており、ドライバーの拘束時間につながる荷待ち/荷役時間の短縮が業界全体の課題となっている。2026年4月に施行された改正物流効率化法への対応が本格化する中で、i-PROは物流現場の実態をAIカメラで可視化し、「時間計測の自動化」を提案する。
物流業界では、トラックドライバー不足や長時間労働が長年の課題となってきた。2024年4月にはドライバーの時間外労働に上限規制が適用され、いわゆる物流の「2024年問題」が顕在化した。荷待ちや荷役によるドライバーの拘束時間の短縮が、輸送力を確保する上での業界共通の課題となっている。
迫る改正物流効率化法への対応、人手に頼る時間管理が現場改善の壁に
このような状況の中、法規制も段階的に強化されてきた。2025年4月には、改正物流効率化法により、全ての荷主/物流事業者に荷待ちや荷役時間の短縮に向けた努力義務が課された。さらに2026年4月には、前年度にトラックで9万トン以上の貨物を扱う「特定荷主」に対し、CLO(Chief Logistics Officer、物流統括管理者)の選任や中長期計画の作成、定期報告が義務付けられた。該当するのは約3200社と推定され、国内のトラック輸送量のおよそ半分を占めるといわれている。対応が不十分な場合には、勧告や社名の公表につながる可能性もある。
業種を問わず多くの企業が対応を迫られる中、「足元の現場では戸惑いも大きい」と話すのは、i-PROの営業部門で物流分野を担当するバーティカルディベロップメント セールススペシャリストの増子央哉氏だ。
「2026年4月の義務化を受けて、物流を経営課題として捉える企業が増えました。しかし現場では、受付で紙の伝票やタブレット端末への手入力に頼り、集計もExcelで行うなど、人手に依存したアナログな運用が根強く残っています。時間の記録自体が十分に仕組み化されておらず、その土台となるデータも整っていません。また、CLOの選任は進んだものの、その多くは総務や物流管理との兼務で、手探りで対応している現場も少なくありません。そのため、危機感はあるものの『何から手を付ければよいのか分からない』という状態が生まれています」(増子氏)
このような背景の中で求められるのは、現場の負担を増やすことなく、車両の動きや滞在時間をデータ化できる仕組みだ。その手段として、i-PROが提案するのがAI(人工知能)カメラによる時間計測の自動化である。
i-PROが持つ高度な監視カメラ技術を、トラックの「時間管理」に生かす
i-PROは、パナソニックグループのセキュリティシステム事業を母体として独立し、60年以上にわたり監視カメラ事業を手掛けてきた企業だ。国内の監視カメラ市場でトップシェアを持ち※)、ネットワークカメラを中心に、クラウドカメラサービス「i-PRO Remo.」、レコーダー、アプリケーションなど、映像活用を支える幅広い商品・サービスの開発・提供を行っている。
※)富士経済「DXを実現するセキュリティ関連システム・市場の将来展望2025」IPカメラ・NVR、2024年
同社が物流分野に着目した背景には、「2024年問題」を契機とした、荷待ち/荷役時間の把握や短縮に対するニーズがある。増子氏は「i-PROでは以前から、カメラで車両のナンバープレートを読み取るアプリケーションを保有していました。映像を撮影して見返すだけでなく、読み取ったナンバーと時刻をデータとして活用すれば、トラックの滞在時間を自動的に把握できるのではないかと考えました」と説明する。
開発に当たっては100カ所を超える物流現場を訪問し、拠点ごとに出入り口の数や車両動線、運用方法が異なることを確認した。そこで、各現場に応じてカメラを配置し、ナンバープレートを読み取るだけで、ドライバーや現場担当者に新たな操作を求めることなく、時間を記録できる仕組みを目指した。こうして生まれたのが「スマート物流パッケージ」だ。
AIカメラで、待ち時間や作業時間を自動でデータ化
スマート物流パッケージの中核となるのは、ナンバー認識アプリケーションを搭載したAIカメラだ。出入り口や待機場、バースなどに設置したカメラがトラックのナンバープレートを読み取り、通過時刻とひも付けて自動的に記録する。これにより、入退場時刻や構内滞在時間に加え、カメラの設置場所に応じて、荷待ち時間や荷役時間も人手を介さずデータ化できる。なおAIカメラは、遠距離の撮影に向く30m先のナンバーも読み取るズームと、暗所撮影にも対応するIR-LEDを備えた「高倍率ハウジング一体カメラ」や、目立ちにくい小型の「i-PRO mini」など、複数の種類から設置環境に応じて選択可能だ。
また、ナンバープレート情報と通過時刻がひも付いているため、各工程にカメラを設置すれば、長時間滞在した車両がどこで時間を要したのかを映像で振り返ることができる。増子氏は「時間の把握だけでなく、誤出荷や器物破損、構内での接触事故といったトラブルの原因究明にも映像を活用でき、現場の安全管理にも役立ちます」と強調する。
外部のバース予約システムと連携し、受付を自動化
この仕組みを土台に、現場の目的や既存システムに応じた2つの運用プランを用意している。1つ目は、i-PROのAIカメラをバース予約システムと連携させる運用だ。現在はHacobuのトラック予約受付サービス「MOVO Berth(ムーボ・バース)」と、ハコベルの「トラック簿」に対応し、連携用のアプリケーションを無償で提供している。MOVO Berthとの連携に対応しているAIカメラは、現時点でi-PROのみだ。
予約したトラックが到着すると、AIカメラがナンバープレートをリアルタイムで読み取り、予約情報と照合する。車両情報と到着時刻はシステムへ自動送信されるため、ドライバーの降車やタブレット端末の操作、受付担当者による入力を省き、入場受付を自動化できる。連携先の仕様や現場設備に応じて、予約車両との照合結果を基に入口のゲートを自動開閉可能だ。退場時刻も自動登録されるため、退出処理忘れによって、システム上で車両が滞在中のままになるといったミスも防げる。
車両の状況が即時にシステムへ反映されるため、バースへの誘導や予約枠の見直しなど、計画的な運用にもつなげやすい。既存の予約システムを生かしながら、人手に頼っていた受付や時間登録を自動化できる点もメリットだ。
滞在時間を可視化できる「タイムトラッキング」
2つ目は、バース予約システムを導入していない拠点や、まず時間管理から始めたい企業に向けた「タイムトラッキング」だ。AIカメラでナンバープレートを読み取り、入退場時刻や構内滞在時間を自動で記録する。登録した車両だけを計測対象とし、従業員車両や社用車を除外するといった設定も可能だ。拠点間の移動などで一時退出した車両も、最大60分以内に再入場すれば一連の作業としてまとめて管理できる。
タイムトラッキングにはダッシュボード機能もあり、平均滞在時間の推移や分布、2時間を超えて滞在した車両の割合などをグラフで確認可能だ。時間帯別/曜日別の傾向や拠点間の違いを比較することで、車両が集中する時間帯や長時間滞在が多い拠点を把握し、原因分析の手掛かりにできる。ライセンスを追加することなく複数拠点のデータを一元管理でき、集計結果はExcel形式で出力可能なため、定期報告に用いる時間データの集計/出力も効率化できる。
コストと技術で選ばれる、i-PROの強み
i-PROの強みは、コストと技術の両面にある。AI処理をカメラ内で完結させるエッジAI方式を採用しているため、画像解析用サーバやAI処理用クラウドを別途用意する必要がなく、システム構成を簡素化できる。i-PROの試算では、一定条件下において5年間の総コストをサーバやクラウドを利用する構成と比較して半分以下に抑えられるケースがあるという。
導入後の業務省力化の効果も見込まれる。平日に1日100台のトラックが入場する拠点に入退場カメラを設置した場合、受付の省力化や構内業務の効率化、時間管理の自動化により、年間1470時間の削減が見込まれると試算している。また、時給1500円で換算すると、年間約220万円相当になると概算している。
もう1つの強みが、監視カメラメーカーとして長年培ってきた映像技術だ。物流拠点の出入り口では、時間帯によって逆光が生じるほか、夜間には十分な明るさを確保できない場合もある。i-PROは、このような環境下でも車両を鮮明に捉える撮像技術を備えている。さらに、走行中の車両のナンバープレートをトラッキングし、200ミリ秒周期で繰り返し読み取ることで、最も鮮明な情報を採用する。4桁の一連番号だけでなく、平仮名も組み合わせて識別することで、安定した認識を支えている。
このような強みを生かした導入事例の1つが、日清オイリオグループだ。同社では従来、ドライバーが受付に設置されたタブレット端末を操作し、車両情報や入退場時刻を登録していたが、操作漏れや誤操作が課題となっていた。そこで、i-PROのAIカメラでナンバープレートを認識し、バース予約システムへ入退場情報を自動登録する仕組みを導入した。現在は従来の受付方法と並行して運用しており、完全移行後は受付1回当たり約10秒の短縮を見込んでいる。
現地調査と簡易PoCは無料、最短3カ月で運用開始
スマート物流パッケージの導入は、まず図面の入手とWeb商談から始まる。現場の運用を把握して要件を整理した上で、提案/概算見積もり、現地調査/PoC(概念実証)、正式見積もり、工事/納品へと進む。
現地調査や1日程度で完了する簡易PoCは、正式な見積もりを提示するまでは原則無料で、カメラの設置位置やナンバープレートの認識精度、運用方法などを導入前に確認できる。正式見積もり後は、設置工事と動作確認を経て引き渡しとなり、条件が整えば最短3カ月で運用開始となる。
増子氏は「情報収集の段階でも、お気軽にお問い合わせください。現在利用しているシステムと連携できるのか、といった疑問にもお答えします。現地調査や簡易PoCでは、実際の車両を撮影しながら、どこにカメラを設置すれば、どのようなデータを取得できるのかまで確認します。全国どこでも伺い、状況に合った導入方法や期待できる効果を丁寧にご説明します」と呼びかける。
外部連携とAI分析機能を強化、物流DXを次の段階へ
今後は、蓄積した時間データを記録/可視化するだけでなく、AIを活用して、荷待ちや長時間滞在が発生しやすい条件を分析し、なぜそうした状況が生じたのかを読み解いて、現場をどう改善すべきかの検討まで支援する機能の強化を目指す。さらに、バース予約システムとの連携についても、現場の運用に合わせて拡張を進め、改善施策を実行する段階でもカメラを有効活用できるよう、機能を強化していく方針だ。
増子氏は「制度対応であれ、現場改善であれ、まず大切なのは現状を知ることです。導入のしやすさという点でも、カメラを活用した可視化は、着手しやすい方法だと思います。最初の一歩から改善計画づくりまで、私たちが全力でお手伝いします」と意気込みを述べた。
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提供:i-PRO株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2026年9月30日











