工場、プラント、ビルなどにおける巡回点検の工数を大幅に削減するサービスが、バルカーが新たに始めた「ZeroVisit(ゼロビジット)」だ。単なる遠隔監視にとどまらず、同社が開発した設備点検プラットフォーム「MONiPLAT(モニプラット)」と連携して、点検票への自動転記やグラフ化、異常通知など、点検に付帯するさまざまな作業の効率化を実現してくれる。人手不足が深刻化する中、日常点検の負荷を根本から見直す有効な打ち手となりそうだ。
設備点検は、工場やプラントの安全な操業に欠かせない作業だ。毎日の日常点検、決められた期間ごとの定期点検、法律に基づいた法定点検、状況に応じた臨時点検など、TBM(時間基準保全)とCBM(状態基準保全)を適切に組み合わせながら、設備を健全な状態に維持する必要がある。
こうした点検は、工場やプラントに限らず、ビルや商業施設、建設現場、水処理施設、発電所、ごみ焼却施設など、あらゆる分野で求められる。
ただし点検作業には工数がかかる。時には1日に複数回巡回して計器の前に立ち、温度や圧力の値を点検票に記入するとともに、ガスや液体の漏れがないことなどを確認しなければならない。巡回から戻った後も、チェックリストの確認やExcelへの数値の転記、点検票の承認、保存といった事務処理が必要になる。
そういった日々の点検作業の工数をほぼゼロに削減することを狙った画期的なソリューションが、バルカーの「ZeroVisit(ゼロビジット)」である(図1)。
開発元のバルカーは1927年の創業で、ガスケット、パッキン、シール材料、樹脂テープなどをプラントの他、半導体、電気/電子機器、自動車産業に幅広く供給している。自らも国内外に工場を持ち、点検作業の重要性や課題もよく理解している。
「バルカーは、紙の点検票をデジタル化した設備点検プラットフォーム『MONiPLAT(モニプラット)』を2023年にリリースし、多くのお客さまに活用していただいています。今回、巡回そのものの負担をゼロに近づけたいとの思いから、『MONiPLAT』をベースにした新たな遠隔監視ソリューション『ZeroVisit』を、センシングやIoT(モノのインターネット)に関して多くのノウハウを持つコネクシオとの協業によって開発しました」と、バルカーでデジタル戦略本部長を務める執行役員の木下祐介氏は説明する。
広大な敷地を持つ施設や危険を伴うような現場を巡回する作業は負担が大きい。労働人口の減少を背景に、そうした作業を担う人材を確保することも難しくなっている。とはいえ、本格的な遠隔監視システムを構築するには多額のコストがかかる。
「ZeroVisitは、業界トップクラスの低コストと、導入における容易な設置が大きな特徴です」と述べるのは、同社 デジタルソリューション部 副部長の藤田勇哉氏である。
具体的な金額は、初期費用は約20万円から[*1]、センサー1つ当たりの利用料は月額1500円[*2]となっていて、類似の遠隔監視ソリューションに比べると導入や運用の負担はかなり低いといえるだろう。
もう1つの特徴が、単なる遠隔監視にとどまらず、事務的な作業を大幅に効率化してくれることだ。点検票へのデータ転記、グラフ化、報告書作成などを自動化。さらに、上長による承認、保存、検索、分析、閾値を超えたときのアラート報知などの機能も備えていて、点検準備、巡回およびデータ化の工数を最大で77%削減できるとバルカーは試算している(図2)。
図 1 巡回点検作業の工数を大幅に削減する「ZeroVisit」。IoT化による遠隔監視に加えて、同社の「MONiPLAT」をプラットフォームとして用い、点検データの一元管理を実現する[クリックで拡大]提供:バルカー[*1] 小規模監視時の金額
[*2] クラウドへのアクセスに公衆網を使う場合は別途通信費が必要
さまざまなセンサーを接続できるのもZeroVisitの特徴だ(図3)。同社 デジタル開発部の三笠大地氏は、「お客さまのニーズにフォーカスして、多様なセンサーの接続や複雑な条件もサポートできるように開発しています」と説明する。
具体的には、温度、湿度、CO2濃度、照度、電力、電流、液漏れ、圧力、液面、流量、振動など、各種IoTセンサーを活用した対応が可能となっている。また、既設のセンサーも接続できるように、電流入力や電圧入力を備えたリモートI/Oユニットも提供される。
例えば、温度や湿度、照度のデータは専用のセンサーユニットから特定小電力無線を通じてゲートウェイにデータが送られ、ゲートウェイからはLTE公衆網を介してクラウドにデータが集まり、処理されるため、ネットワークを新たに敷設する必要がない。
なお、これらセンサーなどのハードウェアの選定や設定、導入現場での通信テストなどは、協業パートナーであるコネクシオの協力を得て行われる。
遠隔監視で課題になるのがネットワーク障害への対応だ。開発を担当する三笠氏によれば、公衆回線あるいはクラウドサービスで障害が発生した場合は、ゲートウェイ内部にセンサーデータを蓄積しておき、復旧後にデータを再送することで計測の欠損を防ぐという。また、センサーデータにはタイムスタンプやセンサー識別情報などのメタデータを付与し、データの混同が生じないような工夫も行っており、日々の点検作業を安心してZeroVisitに置き換えられるだろう。
図3 ZeroVisitのシステム構成。左は温度/湿度/照度などを統合したセンサーユニット(他社品)を無線でゲートウェイに接続した例、右はI/Oユニットを介して漏水センサーをゲートウェイに接続した例[クリックで拡大]提供:バルカー2023年4月にリリースされたMONiPLATは、目視での点検作業を効率化するソリューションだ。
藤田氏は開発の経緯について、「工場などでは、各部の温度計や圧力計の値を目視で確認し、紙の点検票に記入するやり方が一般的です。そうした点検作業のデジタル化の第一歩として開発したのがMONiPLATです。読み取った値を紙に記入するのではなく、スマートフォンやタブレットに入力するだけで点検票が作成され、承認フローを回すこともできます」と話す。
設備に貼った二次元コードを読み取ると関連情報にアクセスできる機能や、作業者が点検マニュアルを閲覧できる機能、スケジュール以外の臨時点検への対応など、使い勝手を高める機能拡充とともにユーザー数も拡大。2025年11月末時点でMONiPLATの導入企業は2000社を突破した。工場、プラント、ビルなどの点検だけではなく、物流業界ではトラックの運行前点検にも使われるなど幅広い業種で点検効率化に貢献している。
ZeroVisitはこのMONiPLATをプラットフォームとして利用している。点検データの保存、参照、検索、閾値アラート、ダッシュボード表示、承認フローなど、実績のあるMONiPLATのさまざまな機能がZeroVisitでもそのまま利用できる。つまりZeroVisitは、MONiPLATが実現する点検データの一元化と統合化に、IoTによる測定の自動化を付加したソリューションともいえるだろう。
巡回点検の工数をゼロに近づけることをコンセプトに開発されたZeroVisitに対して、すでに複数の引き合いが来ていると、顧客対応を担当する同社 デジタルソリューション部の速水章悟氏は明かす。
「毎日300カ所ものチラー温度を人手で巡回し確認しているお客さまや、過去に冷却水配管の漏水の検知が遅れてクリーンルームが水浸しになった経験を持つお客さま、樹脂加工の品質管理に加え納品先から温度条件をエビデンスとして求められているお客さまなどからお引き合いをいただいています」(速水氏)。
速水氏が挙げた例は、実はZeroVisitがもたらす幅広い価値を表している。人手による温度確認の巡回工数削減だけでなく、冷却水漏れという設備異常の速やかな検知、センサーによる温度管理とデータ化で品質管理の向上など、ZeroVisitはさまざまな課題の解決に貢献するソリューションであることが分かる。
このように課題や目的が顧客ごとに異なるため、導入に当たっては最初に顧客からヒアリングを実施し、現地の状況を確認しながら機器を選定したのち、設置、設定するという流れになる。バルカーおよびコネクシオのスタッフが導入まで伴走する。低コストかつ簡単設置というZeroVisitの特徴を生かしながら、顧客それぞれの課題にアプローチしていく。
工場やプラントなどではさまざまなデジタル化が進められているが、人手に委ねられたままの作業も多い。巡回点検もその1つだ。中央監視室を設けて全体を一元的に管理する方法もあるが、中堅中小企業にとっては負担が大きい。
巡回作業の工数をゼロに近づけるバルカーのZeroVisitと、その基盤であり紙への記入をデジタル化するMONiPLATはどちらもコスト負担が軽いため、中堅中小企業にも最適なソリューションといえる。実際に、MONiPLATを導入している2000社のうち、売上高10億円未満が57%、10億円以上100億円未満が15%を占めている。
デジタル戦略本部長の木下氏は「大きな投資をすることなく巡回点検の工数を削減できるのがZeroVisitのメリットです。MONiPLATとともに活用を検討していただければ幸いです」と述べる。
日々の安全な操業に欠かせない作業だからこそ、自社の点検にどのぐらいの工数がかかっているのか、危険な環境での作業が生じていないか、一度棚卸してみるといいだろう。もし、それらの効率化を図りたいなら、巡回点検工数ゼロを目指すZeroVisitは力強い味方になるはずだ。
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提供:株式会社バルカー
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2026年2月5日