製品開発が複雑化する中、情報の分断による手戻りは多くの企業にとって深刻な課題であり、これを解決するためのソリューションとしてPLMが存在する。従来は導入コストなどの問題により大企業向けとされたPLMだが、オートデスクのクラウド型PLM「Fusion Manage」は低コストかつ短期間での導入を可能にした。
製品開発を取り巻く環境は、複雑化の一途をたどっている。多様化/高性能化しているうえに、開発スピードや環境配慮も要求される。グローバルなサプライチェーンにも対応しなければならず、これまで以上に高度な部門間/システム間の連携が必要だ。
その一方で多くの企業では、設計データやBOM(部品表)、仕様書、品質などの製品情報は部門やシステムごとに分散しており、依然としてExcel、メール、共有フォルダを中心とした運用が行われている。この“情報の分断”は、時間的ロスや人為的なミス、手戻りなど、リスクの要因となり得る。そのため、製品にまつわるさまざまな情報をつなぎ、作業者が適切なタイミングで必要な情報にアクセスできる環境が求められている。
それを実現する手法でありモノづくりの基盤として活用できるのがPLM(Product Lifecycle Management)だ。製品の企画/設計から製造、販売、保守/廃棄まで、製品のライフサイクルに関わる情報を部門横断的に一元管理し、製品開発の効率化や品質向上、業務の最適化などが期待できる。その必要性と効果は広く知られるようになり、多くの企業で導入が進んでいる。
しかし、PLM導入のハードルが高いのも事実だ。初期コストや運用コストが大きいうえに、実際に動き始めるまでに多くの時間と人員が必要になる。運用開始後に組織や業務プロセスが変われば、システム側の変更にはコストと時間が必要だ。そのため、体力のある大企業でなければ難しい――というのが、これまでの一般的な認識だろう。
PLMは、航空宇宙業界や自動車業界などで生まれ、徐々に大企業を中心に導入されるようになった。近年では、導入や投資の障壁を軽減するクラウドへの対応も見られるようになっている。
このような背景の中、オートデスクが展開しているのが、製造業向けに特化したクラウド型PLMソリューション「Autodesk Fusion Manage(以下、Fusion Manage)」だ。
オートデスクといえば、CAD製品を思い浮かべる方が多いだろう。同社は1982年に設立され、「AutoCAD」を中心として事業を進化/成長させてきた。現在は主に製造や建設、メディア&エンターテインメントといった業界向けに、CADやPDM/PLM、デジタルファクトリー、BIM、CGなどの各部門や業務プロセスを支える専門的なアプリケーション、そしてそれらのデータを横断的にサポートするクラウドプラットフォームも展開している。
多様なソリューションを提供するオートデスクが、製造業向けのクラウドプラットフォームとして展開しているのが「Autodesk Fusion」だ。当初は3D CADのツール名として登場したが、現在は製造業に特化したクラウドソリューションのブランド名としても使われている。このFusionシリーズの製品として、オートデスクはクラウド型PLMソリューションであるFusion Manageを展開しており、2025年11月に日本での本格販売をスタートした。
Fusion Manageの最大の特長は、オートデスクらしさともいえる「クラウドベースで設計/開発されている」ことだ。同社は2011年からPLMソリューションの提供を開始し、今日まで進化を続けている。現在展開されているFusion Manageは、他社製CADや既存システムとも共存できるニュートラルなPLMであるため、新しくオートデスクのサービスを利用したい人でも問題なく導入できる。この特長を生かし、製品のライフサイクルを管理したい全ての企業に開かれたPLMとして展開している。
オートデスク エマージングテクノロジーテクニカルセールス事業部 Fusion技術営業部 Fusion PLM テクニカルスペシャリストのユ・ヨンゾン氏は「Fusionブランドというと、“誰でも始めることができ、使いやすい”というイメージではないでしょうか。Fusion ManageもこのDNAを受け継いでいるため、導入が容易で使い勝手の良いPLMになっています」と話す。
従来型のPLMは、サーバや専用インフラの準備、システムの構築、クライアントアプリケーションのインストールなど、やるべきことがたくさんある。これらの実行には専門の人員が必要であり、PLMの運用を始めるまでには約6カ月〜1年かかるのが一般的だ。
これに対しFusion Manageは、動作環境がクラウド上に構築されているので、サブスクリプション契約をするだけで開始できる。同製品はブラウザ上で動作するため、専用アプリケーションのインストールも不要だ。そのため、運用に伴うバージョンアップやバックアップも必要ない。
Fusion Manageは日常的な設定変更も直感的で分かりやすいうえ、ベストプラクティスのワークフローや変更管理/品質管理のモジュールなど、追加料金なしで利用できるテンプレートライブラリが用意されている。これにより、ユーザーはテンプレートをダウンロードするだけで、すぐに利用できる。PLM導入に向けた環境を構築している時間がない、専任者を置けないという中小企業などでも、少ないライセンスでPLM導入に向けた検証が可能であり、スモールスタートで利用できることは大きなメリットとなる。
また、Fusion Manageの各種チャートが表示されるダッシュボードも見やすく、扱いやすい。例えば、問題の早期発見や、過去実績を参考にした計画立案など、プロジェクトマネジャーの判断を支援してくれる。
さらに、APIが充実しており、ERP(Enterprise Resource Planning)やCRM(Customer Relationship Management)などの業務システムと統合しやすいことに加え、プラグインを用いたカスタマイズにも取り組みやすい。ユ氏は「今までは、自作のプラグインやカスタマイゼーションで失敗するわけにはいかなかった。だがFusion ManageのAPIを活用して外部のAI(人工知能)ソリューションとつなぐことで、トライ&エラーを繰り返しながら『コーディング経験ゼロ』のユーザーでもプラグインなどを作ることができます。アイデア次第でどんどん便利にしていただけると思います」と説明する。
実際にFusion Manageを導入した企業では、さまざまな効果が生まれている。代表的な事例が音楽機器を世界に提供しているNative Instruments(現 inMusic)での業務改善効果だ。同社では、海外委託先の生産データ、代替部品、変更、コスト情報が分散しているため、供給変動への反応が遅くなっていた。しかし、Fusion Manageの導入によって、製品ライフサイクルやBOM、調達条件、変更情報などを接続したところ、手作業で2〜3日かかっていた製品コスト判断が、3クリックで迅速にできるようになった。
オートデスクは、AIの活用にも非常に力を入れている。Fusion Manageの今後の展望として、2026年9月に米国ラスベガスで開催されたカンファレンス「Autodesk University 2026」では、AIを活用したFusion Manageの次なる進化形「Agentic PLM」が発表された。
Agentic PLMとは、AIによって製品ライフサイクル管理をより直感的で柔軟なものへと進化させるアプローチだ。同PLMの大きな特長は、AIがユーザーに代わって業務を進めてくれることにある。例えば、仕様書やデザインなどを添付して「この変更による影響範囲は?」と自然言語で問いかけると、AIが影響範囲を特定し、必要な作業や対応プランを視覚的に提示できる。AIが出力した内容を人間が確認して実行を指示すれば、実行部分もAIが担ってくれる。
Agentic PLMは、Fusion Manageの上に重ねられた、AIによる業務支援レイヤーだ。「キャンバス」と呼ばれるワークスペースでPLMの機能を実現する。キャンバス機能をオン/オフすることで、自然言語での操作や従来通りの操作を切り替えながら利用できる。
ユ氏は「これまで、PLMは成果物や変更履歴を記録/追跡する場所というイメージだったと思います。そこに至るまでの相談や検討はメールなどで行い、その結果をPLMに登録するという“二度手間”も生じていました。Agentic PLMでは、検討の初期段階からキャンバス上でコラボレーションし、そのまま成果物の作成、記録、追跡までを1つにつなげることができます」と強調する。
このように、製品開発や製品ライフサイクル管理の在り方を変えるAgentic PLMの展開も将来的に予定している。Fusion Manageを導入することは、現時点の課題解決だけでなく、「AI時代のPLMを見据えた環境を整える」ことでもあるといえるだろう。
サーバ構築や専用インフラの準備が不要で、短期間、低コストで利用を開始できるFusion Manageは、PLMの導入/運用を身近なものにしている。PLMはもはや“大企業だけのもの”ではなくなった。
ユ氏は「企業の規模にかかわらず、お客さまがデータを活用するためにはプラットフォームが必要だと考えています。多大なコストと時間がなければ導入できないと思われていたPLMですが、Fusion Manageならすぐに、負担の少ない費用で導入できます。これまで『PLMは無理』と考えていた企業にこそ、検討していただきたいと思います」と述べた。
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提供:オートデスク株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2026年11月28日