DXの推進で製造業の現場におけるデータ活用の重要性が高まる中、点在するデータをいかにして価値に変えるかが問われている。フォイトターボ BTG事業部 プロダクト・エンジニアの浅野正人氏による講演「dataPARC×AIで実現する統合型データプラットフォーム」では、工場内のデータを一元管理し、現場の誰もが活用できる形へと昇華させる統合データ基盤「dataPARC」がもたらす次世代の操業スタイルについて語られた。
製造現場において「データはあるが使えていない」という声は後を絶たない。浅野氏はこの要因として、現場が抱える4つの課題を指摘した。1つ目は「データが点在している」ことだ。工場では制御システムと管理システムが分断されており、互換性および共通インタフェースの欠如から、システム連携できないケースが多い。2つ目は「データをためているだけ」という状況だ。ヒストリアン(データ管理システム)があってもトラブル時しか参照されず、データの読み出しにも時間がかかるという不満が生じている。3つ目は「分析ツールを活用できていない」という課題だ。扱うデータが膨大ゆえに、必要なデータを探すだけで時間が過ぎてしまい、次に行うべきアクションの判断に至らない。4つ目が「システムコストが高い」ことだ。ツールごとに分断された環境では、拡張のたびに追加費用が発生し、長期的なコストが膨らみ続けるという悩みが尽きない。
これらの課題を解決する統合型データプラットフォームがdataPARCだ。浅野氏はデータの点在という課題に対し、データ連携の容易さを強調。dataPARCではOPC(UA/DA/HDA)やCSV、REST APIなど多様なコネクター(データ連携用インタフェース)を標準搭載し、各社のヒストリアンや基幹システムとシンプルに接続可能。接続先インタフェース数は無制限で、システムを横断したデータの一元管理ができる。
収集したデータを時系列で可視化するツール「トレンド」では、見たいタグをドラッグ&ドロップするだけで即座にグラフ化。時間のスライドやズームがマウスで直感的に操作できる他、特定時点のデータをピン留めする機能により、トラブル報告時の共有も容易だ。
分析機能も充実しており、XYプロット、ヒストグラム、FFT分析、バッチ分析など用途に応じたチャートを網羅している。統計モデリングツール「PARCmodel」を使えば、温度や圧力などの原因変数から品質を予測し、乖離(かいり)時にアラームを発報させるといった高度な使い方もできる。加えてExcelアドイン機能を活用すれば、高速でデータを抽出し平均値や標準偏差も同時に算出できるため、レポート作成業務の負荷を大幅に軽減できる。
可視化や分析機能がそろっていても「どのトレンドを見るべきか」「分析結果からどう行動すべきか」という課題は残る。ここで真価を発揮するのがAIの活用だ。例えば「生産状況監視のマルチトレンドを作成して」と入力するだけで、AIが必要なタグを自動検索し、温度や速度などの監視画面を一瞬で構築する。単に画面を作るだけでなく、タグを選んだ理由も提示してくれるのが特徴だ。また「異常の可能性がある箇所を教えて」と尋ねれば、数倍の変動を示したポイントを抽出し、センサー点検など優先順位をつけた「次の一手」まで提案する。ExcelでのAI活用も強力だ。24時間分の操業データに「製造レポートを作成して」と指示すると、AIが表構造を読み取り、生産サマリーや品質指標などを自動集計してレポートに仕上げる。
また、ライセンス売り切り型を採用しているため接続先が増えても追加課金が積み上がりにくく長期的なコストメリットが大きい。米国の石油ガス大手エナジー・トランスファーでは、dataPARCによるシステム統合で意思決定を迅速化し14カ月連続で輸送停止ゼロを達成。年間約15億円のコスト削減を実現している。AIと強力な分析ツールが融合したdataPARCは、現場主導のデータ活用を現実のものとするプラットフォームと言えるだろう。
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アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2026年3月27日