図面連携で故障診断、熟練者の支援を再現する日立AIエージェント

PR/MONOist
» 2026年03月23日 10時00分 公開
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 人材不足や技能継承といった製造現場の深刻な課題に、AIエージェントでどう挑むか。日立製作所 インダストリアルデジタル事業統括本部 ソリューション&サービス事業部(※2026年3月末時点)の長崎圭太氏と中西雅教氏による講演「日立独自AIエージェントで挑む製造DXー現場のリアルと実践事例を語るー」では、工場の設備故障診断を支援する独自AIエージェントの仕組みやメリットについて語られた。

 同社の製造現場診断AIエージェントは、これまで組立加工の分野で実績があったものだが、化学プラントのようなプロセス製造の現場でも実績が出始めている。長崎氏は三菱ケミカル東海事業所の化学プラントでの事例を紹介。プロセス製造の厳しい現場で、AIが熟練者と同等以上の速さと正確さで故障原因を特定し、対策を提示できるかを検証しているという。

「現場判断」の重圧と求められる根拠提示

 AIエージェントによる熟練者並みの自律的な現場支援は、どのような「現場の痛み(=課題)」を前提にしているのだろうか。中西氏は製造現場の課題が、センサーの追加やデータの蓄積だけでは解決できない「現場判断」の重圧にあるとし、例として「アラームの洪水」「予兆の見逃し」「夜勤の即応圧力」「属人化の壁」を挙げた。「夜勤帯に安全弁の作動と流量揺れが重なるとアラームの洪水が起こる。少人数で多数のアラームへの対処を迫られるが、個別のアラーム順に対応したり経験則で原因を当てにいったりでは因果の根本にたどり着けず、結果としてMTTR(平均復旧時間)が延びてしまう」(中西氏)

 これら因果の予兆をつかみきれず実行に移せない理由は「現場の根拠の薄さにある」と中西氏は指摘。波形の揺れを見て予兆と感じても、根拠が図面や系統にひも付いていないため対策の優先度が決まらないのだ。さらに、作業品質は担当者の思考プロセスに左右され、引き継ぎで現場感が伝わらずノウハウが断絶するという属人化の問題もある。中西氏は「予兆から因果、対策候補まで系統図面(P&ID)上にひも付けて提示できれば、判断から実行のスピードが上がる。原因の洗い出しから根拠の提示といった思考プロセスを見える化することで、属人化の壁は崩せる」と解決策を示した。

図面と熟練者の思考プロセスをAIで形式知化

 この「予兆、因果、対策」をP&IDの図面上に見える化できるのが製造現場診断AIエージェントだ。単にOTデータを図面のまま読み込むのではなく、構造を抽出して部品名や機能に分解し、AIが読めるデータへ変換した上で熟練者のナレッジを活用して図面を読み解く。熟練者の思考プロセスを「型化」する方法として、同社が社会インフラなどの高信頼システム向けに活用してきた原因分析手法「STAMP/CAST」を採用。これにより新規故障や要素間の相互作用による故障原因の分析が可能になる。「AIエージェントはデータを入力すると、P&IDをOTナレッジグラフで読み解き、『STAMP/CAST』の型で分析して推論結果を出す。当てどころをP&ID上で見える化し、根拠付きで現場の即断を後押しする」(長崎氏)

熟練者の頭の中に眠るナレッジを使って設計図面を読み解く流れのイメージ例(提供:日立製作所) 熟練者の頭の中に眠るナレッジを使って設計図面を読み解く流れのイメージ例(提供:日立製作所)

代表設備1台から小さく始めるPoCとその効果

 現場への導入に向けて長崎氏は「小さく始めるPoC(概念実証)」の重要性を強調。最初からすべてをAIエージェントに任せようとすると、ケース不足や図面不整合などで失敗しがちなため、まずは対象を代表設備1台に絞り、P&IDを3枚以内、過去のトラブルケースを5件程度用意してスモールスタートすることを推奨している。

 PoCでは、AI推論結果の「物理的・機能的な矛盾の有無(真実性)」と、「想定原因の網羅性」の2点から検証する。正解だけでなく、思考プロセスを評価することで現場の納得感を作っていくのがポイントだ。検証期間は約2〜3カ月で実施でき、原因特定から対策方針が提示されることで着手までの時間が短縮される。「図面とOTナレッジの活用により社内検証で原因推定精度が向上した。AIによる初動提案で現場の迷いが減り、MTTRの短縮につながる。AIエージェントは単なる作業の置き換えではなく、最強の現場パートナーになれる」(長崎氏)

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提供:株式会社日立製作所
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2026年3月26日