日本HPは、最新GPU「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Edition」と「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Edition」を、同社ワークステーションの純正オプションに設定した。高度なビジュアライゼーションをはじめ、デジタルツインやメタバースといった用途において、優れたパフォーマンスを発揮する。
製造業では近年、生産ラインや製品全体をデジタル空間上に再現するデジタルツインや、設計/検証を仮想空間で進めるメタバースの活用が急速に広がっている。こうした取り組みは、開発期間の短縮やコスト削減に寄与するとともに、設計から製造、検証に至るバリューチェーン全体での情報一元化や部門横断の連携強化にもつながっている。
中でも自動車業界では、新型車の企画や意匠設計、開発/評価に加え、生産ラインの検討に至るまでをデジタル空間上で一貫して進める取り組みが本格化している。設計初期段階から完成車レベルの検証を行うことで、時間とコストの両面で成果を挙げる事例も増えてきた。
製造業以外でも、BIM/CIMや3D測量の導入が進む建築/土木分野、点群データを活用した都市計画やインフラ整備など、幅広い領域において、デジタルツインやメタバースは実務で活用される技術となりつつある。
これらの技術が実用領域に到達した背景には、3D技術の進化に加え、シミュレーションの高機能化/高精度化、そしてビジュアライゼーション技術の高度化がある。ワークステーションやGPUの性能向上により、リアルタイム、あるいはそれに近い応答性で結果を得られる環境も現実的な選択肢となった。
一方で、設計や検証に携わるエンジニアの間では、より高性能な計算/ビジュアライゼーション環境を求める声が強まっている。デジタルワークフローの多くが3Dを前提とする現在、GPU性能、とりわけ大規模データをリアルタイムに扱うための処理能力に対する要求は、これまで以上に増している。
こうしたGPU性能への要求に応える形で、日本HPは同社ワークステーションの純正オプションとして、「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Edition」および「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Edition」のサポートを開始した。
日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 本部長の大橋秀樹氏は、Blackwell世代GPUを純正オプションとして展開する狙いについて次のように語る。
「これまではNVIDIAのAda Lovelace世代GPUを中心に提供してきましたが、新たにBlackwell世代GPUを純正オプションとして追加しました。提供開始以降、質感表現まで含めた高精細なビジュアライゼーションを、より高速かつ快適に実行したいというニーズが、自動車業界のお客さまを中心に顕在化しています。Autodesk VREDのような3Dビジュアライゼーションツールの利用環境としての関心も高く、検証機の貸し出しをお待ちいただいている状況です」(大橋氏)
NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation EditionおよびNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Editionを純正オプションとして選択できる日本HPのデスクトップワークステーションの中から今回は、「HP Z2 Tower G1i Workstation」「HP Z6 G5 A Workstation」「HP Z8 Fury G5 Workstation」の3モデルに焦点を当てて紹介する(図1)。
図1 「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Edition」および「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Edition」を選択できる日本HPのワークステーション。左から「HP Z2 Tower G1i Workstation」「HP Z6 G5 A Workstation」「HP Z8 Fury G5 Workstation」[クリックで拡大] 提供:日本HPHP Z2 Tower G1i Workstationは、エントリークラスに位置付けられるワークステーションである。インテル Core Ultraプロセッサーを搭載し、メモリは最大192GBまで拡張可能だ。今回新たに1200W電源搭載モデルを用意し、600WクラスのGPUであるNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Edition、または300WクラスのNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Editionを1枚搭載できる。部門単位での導入や、コストと性能のバランスを重視した構成に適したモデルといえる。
HP Z6 G5 A Workstationは、AMD Ryzen Threadripper PRO CPUを搭載するハイパフォーマンスモデルである。GPUは、NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Editionを1枚、またはNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Editionを最大3枚まで搭載でき、CAEとビジュアライゼーションを1台で運用する構成も可能だ。
HP Z8 Fury G5 Workstationは、日本HPのデスクトップワークステーションにおける最上位モデルである。インテル Xeon W9プロセッサーを搭載し、大型筐体を生かしてNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Editionを1枚、またはNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Editionを最大4枚まで搭載できる。AC100V×2系統での運用に対応しており、一般的なオフィス環境にも設置できる。
NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation EditionおよびNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Editionは、いずれも96GBのVRAMを搭載する。従来のNVIDIA RTX 6000 Adaが48GBだったことを踏まえると、VRAM容量は倍増しており、これまで容量の制約によって扱えなかった大規模モデルやデータセットを、変換や軽量化を行うことなく処理できる。
大橋氏は、GPU性能の進化が設計/解析ワークフローにもたらす変化について次のように説明する。
「Ansys Discoveryをはじめ、近年GPUソルバーに対応したCAEソフトウェアが増えています。日本HPのワークステーションとNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwellを活用することで、CAEとビジュアライゼーションを1台のマシンで実行する構成も現実的になりました。ハイエンド環境を必要とされているお客さまにとって、新たな選択肢が広がると考えています」(大橋氏)
さらに、こうしたGPUの進化は、設計や解析にとどまらず、デジタルツインやメタバースとの連携の在り方にも影響を与えている。
エヌビディア エンタープライズマーケティング シニアマネージャーの田中秀明氏は「これまではCAE環境とメタバース環境が分断され、データ変換や軽量化といった前処理が必要でした。最近ではOpenUSDをそのまま扱えるCAEツールも登場しており、よりシームレスなデータ共有やワークフローの構築が進んでいます。NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwellは、こうしたトレンドにも適したGPUです」と語る。
NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwellは、最新のBlackwellアーキテクチャを採用し、Ada Lovelace世代と比べてレンダリング性能とAI推論性能の両面で大きな進化を遂げている。
VRAM容量の倍増に加え、メモリ帯域も最大960GB/sから最大1.8TB/sへと拡張された。第5世代Tensorコアの搭載によってAI性能も向上し、最大消費電力600WのNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Editionは最大4000TOPS、同300WのNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Editionでも最大3511TOPSを実現する。対応するDLSSも第4世代へと進化し、描画性能の向上に寄与している。
田中氏は、「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwellは、ビジュアライゼーションに加え、AIインファレンスやリーズニング、VLM(視覚言語モデル)を用いたマルチエージェント、ジェネレーティブデザインの高度化など、今後の設計/開発を支える幅広い用途での活用が見込めます」と説明する。
例えば、HP Z8 Fury G5 Workstationに、NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Editionを4枚搭載した環境を用いたデモでは、114台の自動車モデルを含む大規模なシーンをAutodesk VRED上で一度に表示し、リアルタイムレンダリング処理を行っても、快適かつスムーズに操作できることが確認できた。
図3 HP Z8 Fury G5 Workstationに、NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Editionを4枚搭載した環境を用いたリアルタイムレンダリングのデモの様子[クリックで拡大]また、HP Z6 G5 A Workstationに、NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Editionを1枚搭載したデモ環境では、NVIDIA Omniverse上で自動車モデルを8K相当(7680×4320)で表示した際、NVIDIA RTX 6000 Adaが17.72fpsだったのに対し、65.24fpsと約3.7倍の性能向上を記録した。同様に、工場のデジタルツインにおけるビジュアライゼーション用途においても、同環境であれば高いパフォーマンスが期待できる。
図4 HP Z6 G5 A Workstationに、NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Editionを1枚搭載した環境を用いて、NVIDIA Omniverse上で自動車のリアルタイムビジュアライゼーションを実行している様子[クリックで拡大]「ビジュアライゼーション性能が要求されるアプリケーションを安定して運用したいお客さまにとって、NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwellを搭載できる日本HPのワークステーションは有力な選択肢となり得ます。高度なビジュアライゼーションをはじめ、デジタルツインやメタバースの活用を本格的に進めるための基盤として、ぜひご検討ください」(大橋氏)
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提供:株式会社日本HP
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2026年2月25日