工場のスマート化をはじめ製造業のDXに欠かせないのがPCだ。エプソンダイレクトは、この製造DXに向けて、4つの強みと3つのパッケージ、そして独自の「ダウンサイジング」の考え方に基づくPCを展開している。
製造業がモノづくりを進化させ、国内はもとよりグローバル市場で存在感を高めていくためには、工場のスマート化をはじめとする取り組みが欠かせない。そうした製造DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上での基盤となるのがPCだ。工場内で稼働するさまざまな装置や設備の監視/制御の他、昨今ではAI(人工知能)を活用した高度な外観検査、紙の台帳で行われてきた作業日報のデジタル化、生産実績のリアルタイムな見える化など、幅広い現場業務でPC活用の幅が広がっている。
このPCについて、国内の中堅中小製造業が製造DXを推進するための製品やソリューションの提案を強化しているのがエプソンダイレクトだ。
セイコーエプソンのPC事業を源流として1993年に独立した同社は、もともとはDOS/Vパソコンなどコンシューマー向けのビジネスを中心としていた。そうした中で大きな転機となったのが、1997年9月から手掛け始めたバリュー価格でのBTO(Build To Order)戦略の展開である。ここで蓄積した実績とノウハウをもとに、2014年頃からは製造業を中心としたB2B向けのPC販売を拡大してきた。
国内製造業において、エプソンPCが注目されている理由は、具体的にどんな点にあるのだろうか。
同社 事業推進部 部長の福田克稔氏は4つの強みを訴求する。
1つ目は、製造業の特定用途での長期運用に適したIoT(モノのインターネット) OSである「Windows 10/11 IoT Enterprise LTSC」を搭載したPCを提供していることだ。
Windows 10/11 IoT Enterprise LTSCでは約10年間の長期サポートが保証されており、導入システムの長期活用が可能となる。加えて機能追加アップデートが強制的に適用されないことで、機能変更による評価検証が最小限に抑えることができる。更新をセキュリティアップデートのみに限定することで、アプリケーションの運用環境を固定できるのだ。
さらにUSBやキーボードへのアクセス制限、専用アプリケーション以外の使用を制限するロックダウン設定などが可能なため、システムベンダーによるサポートの工数削減も期待できる。
福田氏はこれらのメリットを踏まえつつ「生産ラインの管理端末やオーダー端末、組み込み/制御端末などの特定業務用途向けのPCを、エプソンダイレクトでは1台からBTOで提供しています」と強調する。
2つ目の強みは、安心の定額保守サービスである。製品購入後から最長7年まで加入でき、長期的なトータルコストを抑えることができる。「当社には、セイコーエプソングループのPC事業として30年を超える実績の中で蓄積された技術と経験があります。品質に対して確かな自信を持っているので、PCでは異例ともいえるこの長期的な定額保守サービスを提供できるのです」(福田氏)。
3つ目は、無料貸し出しプログラムだ。PCを入れ替えたら現行システムが動かなくなるのではないかと、互換性に不安を感じている製造業は多い。そんな企業に対して、事前に動作検証を行うことができるPCを貸与しているのである。単に固定仕様のPCを貸与するのではなく、顧客企業の動作検証に必要なスペックにフルカスタマイズした上で無料貸し出ししていることが好評を得ている。
そして4つ目は、キッティングBTOである。PCのセットアップを何台にもわたって行わなければならない作業は非常に煩雑で、人手も確保できないなど、PC導入の負荷になりがちだ。そんな企業に対してエプソンダイレクトでは、事前に作成されたマスターイメージを購入したPCに適用して出荷する「カスタムイメージ複製サービス」など、面倒なセットアップ作業を代行するサービスを用意しているのである。
なお、ここで特筆しておきたいのが、上記の4つの強みを生み出す背景にもなっているエプソンダイレクトならではの「ダウンサイジング」の考え方である。
一般的にPCのダウンサイジングと聞けば、コンシューマー向けの汎用機における小型軽量化やコストダウン、あるいは小売業のPOS端末など機能特化した専用機の展開といった取り組みを思い浮かべるのではないだろうか。エプソンダイレクトは、これとは少し違った製造業向けPCの領域で求められるダウンサイジングを追求しているのである。
「当然のことながら、製造業向けPCでもコストダウンは強く要求される要素ですが、単に初期費用が安ければ良いわけではありません。長期間にわたって安定した稼働を維持するための保守や、消費電力の削減なども重要な要素となっています。これらの要件に対するバランスの取れたトータルコストを低減していくことを、私たちは製造業向けPCで実現すべきダウンサイジングと捉えています」(福田氏)
こうしたエプソンダイレクトならではのダウンサイジングに対するこだわりこそが、中堅/中小の製造業でも長く安心して使っていくことができる、製造業向けPCの信頼につながっているといえる。
エプソンダイレクトのPCは、これまでも製造業における多様な用途や現場で採用され、業務のデジタル化を後押ししてきた。さらに同社は、製造DXの課題解決に向けた新たなパッケージモデルの展開に乗り出している。
「第10回 ものづくりワールド名古屋」(2025年4月9〜11日、ポートメッセなごや)内の「第3回 製造業DX展 名古屋」に出展したエプソンダイレクトは、数多くの国内製造業が集積する中京/東海地区の顧客に向けて、製造業向けの取り組みをアピールした。ここで重点を置いて紹介したのが3つの製造業向けパッケージモデルである。
1つ目は「外観検査AI向けNVIDIA搭載パッケージ」。製造ラインにおける品質管理やデータ収集、異常検知、レポート作成などを担うソリューションである。AIによる外観検査や高度な並列処理(CUDAプログラミング)を最適に行うためNVIDIA製の高性能GPUを搭載するとともに、安定した稼働を支える冷却機能を兼ね備えた設計を施しているのが特徴だ。「当社のPCはグラフィックスボードまで対象となる定額保守サービスを用意しており、最長7年まで選択できます」(福田氏)。
2つ目は「ペーパーレス化向けWindowsタブレット運用パッケージ」。在庫管理や作業支援、図面確認、指示書入力などの用途を想定したものでWindows 10 IoT Enterprise LTSCを採用。Windows基幹システムとの連携のしやすさと、セキュリティを両立させている。
3つ目は「装置組み込み向け長期運用パッケージ」。銘板プリントや梱包照合、ピッキングなどの業務での安定稼働を目的としたもので、こちらもWindows 10/11 IoT Enterprise LTSCを搭載している。極小スペースに設置できるコンパクトPCでありながら、シリアルポートや2ndLAN(ともにオプション)などの豊富なインタフェースによる高い拡張性を備えており、最長7年の長期保守サービスに加えて、最長6年の有寿命部品の保守サービス※)も用意している。
※)有寿命部品保守サービスは、定額保守サービスでは保証されない有寿命部品の寿命期間を超過したことによる故障に対して、無償で部品交換や修理対応を行うサービス。
なお、エプソンダイレクトの展示ブースでは、共創パートナー4社との連携による製造DXに向けた取り組みも紹介された。
進和が出展したのは、シンプルかつスマートに工場DXを実現するソリューション「SDS-Manager」だ。プログラムレスでのデータ収集や、アイコン化されたボタンで直感的/視覚的にも分かりやすいテンプレート画面などの機能を搭載。トレサビリティーや状態表示、分析、異常履歴、予兆保全、ユーティリティー監視など、製造DXに向けて不可欠となる業務で、導入後すぐに活用できる。
NECネッツエスアイは、迅速な状況把握や改善活動を促す「工場DXダッシュボード」を出展した。設備や人、環境など工場全体から収集したデータを俯瞰(ふかん)できる「3Dマップ上の可視化」、収集したデータを読み解く「ダッシュボード上での相関分析」、映像AIなどが異常を検知した際に警告を発する「アラームルールの設定」などの機能を提供することで、迅速かつ的確な意思決定を支援するという。
なお、進和とNECネッツエスアイの展示は連携した内容になっており、SDS-Managerによる工場の現場業務の効率化に加えて、工場DXダッシュボードによって工場全体から複数の工場間をまたいだ全社的な製造DXの推進も可能な構成になっている。
ダイキン工業が展示した「QX digital Solution」は、QMS領域におけるDXの“型”を、ベストプラクティスとしてパッケージ化したアプリケーションをセットで提供するものだ。同社の伴走支援サービスを受けながら、これらのアプリケーションを安心/簡単にアレンジして利用できるのが特徴で、大きなグランドデザインを描きつつ、スモールスタートでDXを着実に進行していくことを支援する。
マイクロソフトは、2025年6月以降に発売を予定しているエプソンダイレクト初となるCopilot+ PCの参考展示を行った。Copilot+ PCとは、AI処理に特化したNPUを搭載したPCであり、クラウドに接続することなく生成AI処理を効率的かつ高速に実行できることを特徴としている。必ずしもインターネットに接続できるとはいえない工場の現場においてAI機能を活用する上で、Copilot+ PCが大いに活躍することは間違いない。
エプソンダイレクトの製造業向けPCと、その周辺に整備されていくパッケージモデルや共創パートナーのソリューション群によって、中堅/中小製造業が本格的に製造DXに乗り出していける準備が整ったことを実感していただければ幸いだ。
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提供:エプソンダイレクト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2025年7月29日