カギは情報の一元管理、設備保全のPDCAを無理なく回す方法とは設備保全DX

人材不足や設備数の増加、複雑化といった課題を背景に、製造業では設備保全業務の効率化が急務となっている。このような状況に対応するため、NTTコムウェアは2024年、設備データや作業員のタスク進捗を一括管理できるクラウドサービス「プラントコラボ」をリリースした。このサービスは、設備保全管理システムなどと連携することで、理想的な設備保全のPDCAを無理なく実現できる。プラントコラボの特徴や、両者の連携によるメリットを紹介する。

» 2025年02月05日 10時00分 公開
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 市場ニーズの多様化、少子化による人手不足、技能継承など、モノづくりを取り巻く環境の変化に伴い、業界や業種を問わず、多くの企業が設備保全業務に課題を抱えている。公益社団法人日本プラントメンテナンス協会が実施した調査によれば、近年、設備保全業務の難易度が上昇していると感じている企業は、全体の75%に達しており、中でも設備保全における「人」「技術」「時間」が不足していることが明らかになっている。

 その背景についてNTTコムウェア エンタープライズソリューション事業本部 ビジネスイノベーションソリューション部の辻井友涼氏は「設備投資の減少による設備の老朽化や長寿化、少量多品種生産への対応に伴う設備数の増加、技術進歩による設備の複雑化、作業員の高齢化など、さまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えられます。その結果、適切な保全活動を行えば防げた可能性のあるインシデントも発生しているのが現状です」と述べる。

 従来型の設備保全手法で現場を運営し続けるのには限界がある。そのために急務となるのが設備保全業務の変革だ。

設備保全の最適化に不可欠なPDCA、実情は「PD」のみが空回り

 設備保全の最適化手法の1つに、計画主導で仕組みを構築する「PDCAモデル」がある。このモデルは、設備保全を「保全計画(Plan)」「保全実行(Do)」「保全評価(Check)」「保全戦略(Action)」の4つのステップに分け、繰り返し実行することで最適化を図るものだ。

 設備保全におけるPDCAモデルの利点について、辻井氏は「ヒューマンエラーの抑止」「設備の安定稼働」「作業効率の向上」「メンテナンスコストの削減」の4点を挙げる。「例えば慣例的に3年周期で点検を行っている機械でも、分析によってより適切なメンテナンス周期を見いだすことができます。適切な周期で点検を行うことで、故障による設備停止やメンテナンス費用の低減が可能になります。PDCAモデルが設備保全の理想形とされるのは、この最適化効果によるものです」(辻井氏)。

NTTコムウェアの辻井友涼氏 提供:NTTコムウェア NTTコムウェアの辻井友涼氏 提供:NTTコムウェア

 しかし、「多くの企業で『P』と『D』のみを繰り返している状況が散見されます」と辻井氏は指摘する。その原因となっているのが、紙中心の現場作業データ管理だ。辻井氏は「保全評価を実施するには過去の作業や業務の振り返りが不可欠です。しかし、紙やPDFなど異なる形式でデータが保存されているため、所在が不明となり活用が困難になっています。この情報の一元化の欠如が『C』の部分で停滞を招き、PDCAサイクルを適切に回せていないのです」と説明する。

 設備保全のPDCAをうまく回すカギは、「情報を一元管理すること」であり、そのためには紙ベースからの脱却とデジタルシフトが不可欠だ。この設備保全に必要なデータの一元化に特化したソリューションが、NTTコムウェアが提供する「プラントコラボ」だ。

設備保全業務の情報を一元化できる「プラントコラボ」

 プラントコラボは設備保全に必要な作業員のタスク進捗、コミュニケーション記録、ノウハウなど、人にフォーカスを当てた情報を一元管理するクラウドサービスだ。これらのデータを蓄積、活用することで、設備保全業務の計画立案から実施、改善に至るまで、適切な設備保全ライフサイクルの策定を支援する。SaaS(Software as a Service)形式で提供され、現場の作業員が持つタブレット端末でも利用可能だ。

 プラントコラボには、作業ごとのアサイン状況やリアルタイムの進捗状況を可視化する「マイワーク」「進捗管理」、スマートデバイスを通じて現場と遠隔地の映像をつなぐ「リモート作業支援」、さらに一元管理されたデータを現場から簡単に確認できる「掲示板」「報告書作成」などの機能が含まれており、ツールの使い分けが不要となる。そのため、管理者から現場作業員までプラントコラボ1つで業務が実施でき、効率的な設備保全を実現する。

 さらに、2024年8月から追加された「安心安全機能」では、ウェアラブルデバイスから取得した作業員個々のバイタルデータや作業強度、気温や位置情報などの環境データをAI(人工知能)で分析し、「体調リスクの予測」「危険エリアへの侵入検知」「転倒検知」といった機能を提供する。作業員一人一人の体調や作業状況を考慮した適切な業務をアサインでき、万が一事故が発生した場合も迅速な初動対応が取れる他、蓄積されたデータを分析することでより最適な安全策の検討につなげられる。まさに、設備保全計画の策定から、作業効率と安全性を最適化した人員配置、作業管理・報告の効率化まで、現場のウェルビーイング(Well-being)に向けたトータルな支援が可能となった。

 「設備保全に関わる散在するデータを集約できることがプラントコラボの最大の特徴です。設備データのみならず、“作業する人”に関するデータまでをデジタル化し、業務状況や身体的不調にまで踏み込んだ適切なアサインを実現します。これにより、設備の安定稼働、現場作業の効率化にも寄与します」と辻井氏は説明する。

設備保全最適化の実現方法 設備保全最適化の実現方法[クリックで拡大]提供:NTTコムウェア

 NTTコムウェアでは、これらプラントコラボの機能をより詳細に紹介するウェビナーを2025年2月20日に開催する(申し込みはこちら)。 現状の設備保全における課題を改めて共有しながら、プラントコラボを活用することで設備保全のPDCAがいかに適切に回り、メンテナンスコストの最適化や安全性の向上に寄与するのかを解説する。

設備保全管理システムとの連携で理想的なPDCAサイクルを実現

 上記のウェビナーでも紹介されるのが、設備保全管理システムとプラントコラボの連携機能だ。

 同システムは工場やプラントの生産設備やユーティリティー設備を包括的に管理できる、クラウド型のシステムだ。設備や機器に関する情報を一元的に管理する「設備台帳管理」、保全作業の計画を立案し進捗を管理する「保全計画・履歴管理」、設備の故障情報を詳細に記録し、原因や対応履歴を分析することで再発防止やトラブルの早期対応を支援する「故障情報管理」などの機能を有する。

 設備保全管理システム単体でも設備保全のPDCAを回すことが可能だが、プラントコラボと連携させることで、所有者側の設備情報と現場の作業情報の一元管理が可能になる。具体的には、保全計画(P)を設備保全管理システムで策定し、プラントコラボへ連携させる。プラントコラボではその計画を基に作業者のアサインを行い(D)、作業結果を登録し情報を集約する。集約された情報は再び設備保全管理システムに戻され、結果分析と次期保全戦略の策定(C、A)に活用される。

 「両ツールの連携により、例えば点検業務の周期や故障箇所を分析し、点検周期が適切かどうかを評価したり、故障原因を特定して改善策を講じたりすることが可能になります。設備に強みを持つ設備保全管理システムと、人に強みを持つプラントコラボが機能を補完し合うことで、設備情報と作業情報を統合的に管理する仕組みを構築できるのです」と辻井氏は強調する。

 ウェビナーの中では、設備保全管理システムとプラントコラボの連携のデモを実施する。

 まず設備保全管理システムで作成した機器点検の計画をプラントコラボに共有する。作業者による点検結果の入力をプラントコラボ側で行い、それを再度、設備保全管理システムに戻すまでの一連の流れを、画面操作を交えながら説明する。

 このデモにより、設備保全管理システムで立案された計画がプラントコラボでどのように活用され、プラントコラボで収集された情報がどのように設備保全管理システムに統合されるのかを、視覚的に理解できる。

プラントコラボに登録された作業結果を設備保全管理システムでも確認することで、PDCAのPDだけではなくCAを行うことができる プラントコラボに登録された作業結果を設備保全管理システムでも確認することで、PDCAのPDだけではなくCAを行うことができる[クリックで拡大]提供:NTTコムウェア

現場帳票システムやチャットツールとの連携で業務の可視性と効率を向上

 プラントコラボは設備保全管理システム以外にも、現場帳票システム「i-Reporter(アイレポーター)」やビジネス向けチャットツールなどのシステムと連携することで、機能を拡張できる。

 i-Reporterは、従来紙ベースで行っていた現場での帳票作成や報告書の作成、提出をタブレット端末などで簡単に実施できる。i-Reporterで作成されたデータをプラントコラボに反映させることで、報告内容や点検結果が全てデジタルで一元的に管理される。また、プラントコラボに集約されたデータを設備保全管理システムに返却することで、保全計画や履歴管理に活用できる。

 ビジネス向けのチャットツールと連携し、作業の開始、終了の報告をボタン一つで簡単に連絡できる機能を備えている。ボタンをクリックするだけで、作業開始/終了報告をプラントコラボに反映でき、業務の進行状況がリアルタイムで可視化される。管理者は現場にいなくても、業務の進行状況や完了状況を即座に把握できる。

 このように他システムと連携することで、現場の最前線からの情報がプラントコラボを介してシステム全体に統合でき、業務の可視性と効率が大幅に向上する。

他システムとの連携により業務の可視化や効率向上に貢献 他システムとの連携により業務の可視化や効率向上に貢献[クリックで拡大]提供:NTTコムウェア

 効率的な設備保全を実現するにはPDCAサイクルを効果的に回すことが不可欠だ。「人」に特化したプラントコラボと「設備」に特化した設備保全管理システムを連携させることで、無理なくPDCAサイクルを回せる仕組みを構築できる。

 2025年2月20日のウェビナーでは、設備保全管理システムの提供元をゲストに迎え、連携モデルについて詳しく紹介される。この機会を活用し、自社の設備保全改革に一歩踏み出してみてはいかがだろうか。

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提供:エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2025年3月31日