多拠点・多段階かつ複雑な制約条件を満たした最適な生産計画・物流計画を実現するにはサプライチェーン計画の最適化

多拠点・多段階・多工程/行程を特徴とする日本の製造業において、複雑な制約条件を踏まえた需給バランスの計画・調整は難しいとされてきた。この課題を解決するのが、キヤノンITソリューションズ独自の数理技術を用いたサプライチェーン計画ソリューション「SCPlanet」である。

» 2024年12月02日 10時00分 公開
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 事業環境の変化が激しくなり、製品の需給変化が読みづらくなる中、最適なサプライチェーン計画立案の重要性が国内製造業において大きく高まっている。実現する上でクリアすべき課題は多いが、その解決策を提供するのが、キヤノンITソリューションズのサプライチェーン計画ソリューション「SCPlanet」である。

 本稿では、2024年11月6日〜7日に開催された「サプライチェーンセミナー 2024秋」で、同社 製造ソリューション事業部 製造ソリューション開発本部の石井一光氏による講演、「数理技術による最適計画立案!需給計画自動化事例のご紹介」の内容を紹介する。

生産計画・物流計画業務における自動化・最適化を支援

キヤノンITソリューションズ 製造ソリューション事業部 製造ソリューション開発本部の石井一光氏 キヤノンITソリューションズ 製造ソリューション事業部 製造ソリューション開発本部の石井一光氏 提供:キヤノンITソリューションズ

 サプライチェーン計画の全体最適化を困難にする要因の1つが、調達・生産・供給計画における考慮すべき制約条件の多さだ。国内製造業の特徴の一つとして、「多拠点・多段階・多工程/行程」であることが挙げられるが、これらが非常に複雑な制約条件とあいまって計画担当者の頭を悩ませる。これに加えて石井氏は、製造業共通の課題である「計画業務のサイロ化」「計画担当の属人化・職人化・過負荷」「Excelでの計画業務」が計画業務の遂行を難しくしていると指摘する。

 SCPlanetはこうした課題に対して、キヤノンITソリューションズ独自の数理技術を適用することで解決を目指す。特徴の1つが、需給連鎖をシミュレーションする「PSIネットワーク」である。SCPlanetの“神経系統”と位置付けられており、計画担当者の意思決定を支援する。

SCPlanetの概要 SCPlanetの概要[クリックして拡大] 提供:キヤノンITソリューションズ

 原材料調達から生産工程を経て製品が生産され、物流工程を経て顧客に届くまでの一連の流れを仮想空間上にモデリングし、PSI(Production、Sales、Inventory)計画の変化が全体に及ぼす影響をシミュレーションする。サプライチェーンの下流で生じた需要変化を瞬時に反映し、PSI計画の情報を更新できる。

 「SKUと工程の連鎖を、PSIネットワークを用いてモデル化することで、意思決定相互の関連と最適化を行うポイントが明確になります。多拠点・多段階の複雑なサプライチェーンでも、一気通貫で瞬時にPSI情報を更新でき、各工程の迅速な意思決定を可能にします」(石井氏)

 SCPlanetは需要変動や突発的な事象にも柔軟に対応しやすい計画業務を実現する。工場や倉庫間の調整と連携を円滑にする他、社内で散在する在庫情報の一元管理と可視化といった現場ニーズにも応える。

複雑な制約条件を踏まえた計画立案を可能に 複雑な制約条件を踏まえた計画立案を可能に[クリックして拡大] 提供:キヤノンITソリューションズ

 さらに石井氏は、「SCPlanetは、PSIネットワークを構築するさまざまなライブラリで構成されたフレームワークのような存在です。お客さまの既存システムと柔軟に連携し、固有の業務形態や制約条件などに対応できるように構造設計されています。Fit to Standardにとらわれない、柔軟な導入形態やシステム構成を実現します」と説明した。

計画担当者の判断を反映しやすいシステム

 SCPlanetは組み立て製造業とプロセス製造業のどちらでも導入・運用可能だ。その上で講演では、自動車用タイヤなどの合成ゴムや高機能樹脂の製造・開発などを手掛ける日本ゼオンの導入事例を紹介した。

 日本ゼオンの原料部では、船舶による輸送管理を行う配船業務と、原料の在庫を適正に保つバランス業務の両方でExcelが使われていた。このため業務の属人化が深刻になり、SCPlanetの導入による解決を図った。

 導入後は配船計画と在庫バランスの情報が一元化され、サプライチェーン計画のスムーズな構築が可能となった。これによって計画業務の負荷低減や業務効率性の向上を実現するとともに、計画最適性の検証や後継者育成に関わる課題も併せて解決できた。

 日本ゼオンでは導入するシステムについて、AI(人工知能)を活用したシステムを構築するという選択肢を当初構想していた。しかしAIでは、最新の状況変化を踏まえた計画担当者の判断を反映させづらい。一方で、SCPlanetは制約条件をパラメータで表現し、計画担当者自身がチューニングする仕組みとなっており、これが導入を決定した一因にもなっている。

 「例えば配船の過程で何らかの障害が発生した場合、障害状況を踏まえて、配船計画担当者自身が制約条件のパラメータを操作できます。その制約条件の下でシミュレーションを試行し、結果を基に判断ができる。オンデマンドかつレジリエンスを備えた意思決定の仕組みとして運用できます」(石井氏)

日本ゼオンでの導入事例 日本ゼオンでの導入事例[クリックして拡大] 提供:キヤノンITソリューションズ

 最後に石井氏は、「明確なモデル化が通用しない時代において、レジリエンスのあるサプライチェーン計画の立案には、自由度が高く、柔軟な意思決定を可能とする仕組みが必要です。PSI連動に基づいた計画とシミュレーションを実現するSCPlanetは、多くの製造業や流通業のお客さまのレジリエンス向上に貢献します」と強調した。

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提供:キヤノンITソリューションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2024年12月31日